人間ドックの検査から分かる病気

心電図

心電図心電図検査とは、心臓の動きを電気的な波形にして記録し、心臓の状態を把握する検査です。心臓の活動の異常によって生じる不整脈の診断にはとても重要な検査です。正常な方は規則正しい波形が記録されますが、波形は乱れている方は何らかの病気が潜んでいます。 検査方法は、ベッドに仰向けになった状態で、両手首・両足首・胸部に電極を取り付けておこないます。検査結果から胸の痛み・動悸・呼吸困難・失神などの症状や疾患の原因を調べます。

分かる病気
  • 不整脈
  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 心肥大

不整脈とは、頻脈、徐脈、不規則な脈など、心拍リズムの異常がある状態をいいます。自覚症状は見られない場合もありますが、動悸や脱力感、失神などの症状があらわれます。 不整脈の原因が必ずしも重大な疾患であるということではありませんが、重大な心疾患を抱えている場合がありますので健康診断や人間ドックによる心電図の検査が重要となります。 心電図検査では不整脈だけでなく、狭心症や心筋梗塞、心肥大などの心疾患の可能性を発見することもできる検査です。

視力検査

視力検査視力検査では近視や遠視、乱視といった屈折異常を調べる検査です。視力検査器や検査表を用いて、アルファベットの「C」のような記号の切れ目が上下左右のどちらにあるのか、また見える大きさがどの大きさまでみえるのか片目ずづ検査していきます。検査は裸眼視力だけでなく、眼鏡やコンタクトレンズを使用した矯正視力も測定いたします。
分かる病気
  • 遠視
  • 乱視
  • 近視

聴力検査

聴力検査では正常な範囲の音が聞こえているか検査します。ヘッドホンを装着したら高い音から低い音を鳴るので、音が聞こえたらボタンを押していきます。近年ではイヤホンを装着して音楽を聴く方が増えた影響で、若年層の方にも難聴が増えてきています。また、年齢とともに高い音から聞き取りづらくなることが多いため定期的な検査が大切です。

分かる病気
  • 難聴

聴力機能の低下の原因にはメニエール病、突発性難聴、聴神経腫瘍などの病気が潜んでいることがあります。早期発見、早期治療によって進行を遅らせることや改善を図ることが可能なため定期的な検査が重要です。

眼底検査

目薬をさして瞳孔を開かせて目の網膜を撮影する検査です。 失明につながる疾患の上位が緑内障・糖尿病性網膜症・網膜動脈硬化症といわれており、網膜に異常がないか、視力が落ちる要因の黄斑変性がないかなどを検査します。

分かる病気
  • 緑内障
  • 白内障
  • 視力低下
  • 黄斑変性症

現代の医療では緑内障は早期発見による早期治療を始めることができれば進行を遅らせ、失明を防ぐことができる病気となっています。視力は生活において大きく影響しますので、特に40歳以上の方は定期的な検査が重要です。 また、日帰りの手術で治療できる白内障も放置すると緑内障を発症する可能性があるため早期発見が鍵となります。

血液検査

血液検査では様々な疾患の情報が分かる検査です。1回の採血で、臓器の状態、血糖値・脂質の異常、炎症があるかどうかなど、多くの項目を検査することが可能です。

分かる病気
  • 腎機能
  • 肝機能
  • 膵機能
  • 甲状腺機能
  • コレステロール(LDL、HDL)
  • 中性脂肪
  • 血糖値・HbA1c(糖尿病の有無)
  • 感染症の有無(B型肝炎、C型肝炎、梅毒など)
  • 炎症反応
  • 貧血の有無

検査結果の例として悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の値が基準値より高い場合は動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こすリスクがあることを意味しています。数値が高く症状がない場合でも放置すると動脈硬化が徐々に進行し、気づいてからでは治療が難しくなっていきます。 また、生活習慣病の代表格である糖尿病は糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害など様々な合併症を引き起すため、早期の治療と生活習慣の改善が重要です。 人間ドックの血液検査では、一般的な健康診断に比べて腎臓・肝臓・膵臓の数値を詳しく見ていくことで、一人ひとりの体質に合わせて健康管理のアドバイスをおこないます。 なお、血液検査の結果と併せて、内視鏡や超音波などをおこない、総合的にみることで精密な診断も可能です。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査とは、がん細胞がつくる特殊なたんぱく質・酵素を指す腫瘍マーカーの数値を検査します。 採血し、腫瘍マーカーの数値によってがんのリスクを調べ、内視鏡の検査結果などを併せて総合的に診断します。がんの早期発見や予防に役立てることができるため検査を受けることおすすめしております。

分かる病気
  • 各種の悪性腫瘍
当院の人間ドックで測定可能な腫瘍マーカー検査
  • SCC
    (肺がん、食道がん、子宮頸部の扁平上皮がん)
  • SLX
    (肺がん、卵巣がん、消化器系がん)
  • CYFRA
    (肺がん)
  • NSE
    (肺小細胞がん、甲状腺髄様がん、脳腫瘍)
  • ProGRP
    (肺小細胞がん)
  • CA15-3
    (乳がん)
  • BCA225
    (乳がん)
  • CEA
    (胃がん、大腸がん、消化器系がん、肺腺がん)
  • CA19-9
    (胃がん、大腸がん、膵がん、胆道系のがん)
  • AFP
    (肝がん)
  • PIVKA-Ⅱ
    (肝がん)
  • Span-1
    (膵がん)
  • DUPAN-2
    (膵がん)
  • 尿中NMP22
    (膀胱がん、腎盂がん、尿管がん)
  • p53抗体
    (食道がん、大腸がん、乳がん)
  • CA125
    (卵巣がん)

※()内は主に高い値の場合に可能性がある疾患です。

腹部超音波検査(エコー検査)

腹部エコー検査腹部の表面にゼリーを塗り、超音波で肝臓・膵臓・腎臓・胆嚢の状態をみる検査です。苦痛もなく安全な検査のため、産婦人科では胎児の経過診察にも用いられている検査です。
分かる病気
  • 肝臓がん
  • 膵がん
  • 胆のうがん
  • 腎臓がん
  • 膀胱がん
  • 前立腺がん
  • 卵巣がん
  • 脂肪肝
  • 肝血管腫
  • 胆のうポリープ
  • 胆のう結石症
  • 前立腺肥大
  • 子宮筋腫

肝臓がんの主な原因はB型、C型肝炎ウイルス感染でしたが、最近ではウイルス感染ではない脂肪性肝疾患が原因で肝臓がんにあるケースが増えてきています。男性は45歳、女性は55歳から発祥のリスクが上昇するため症状がない方も、健康診断の数値に異常があった方はお早めに検査を受けることをおすすめします。 膵臓がんは、症状が現れにくく早期発見が難しいことに加え、初期段階でも転移するリスクが高いがんです。家族が膵臓がんになっている方や不安な方は半年から3カ月に一度、そうでない方では年に一回の超音波検査をおすすめします。 腹部超音波検査ではがんのほかに生活習慣にかかわる脂肪肝や胆のう結石症、加齢に伴う前立腺肥大症など様々な疾患を発見できる検査ですので年に1回の定期的な検査をおすすめします。

胸部レントゲン

胸部にX線を照射する検査です。肺・心臓・両肺の間にある器官に腫瘤や影がないか、炎症や異常がないか調べます。
ぜんそく(喘息)や、慢性閉塞疾患(COPD)、間質性肺疾患などの呼吸器の病気が疑われる時にもおこなう検査です。

分かる病気
  • 肺がん
  • 肺気腫
  • 肺炎
  • 心拡大
  • 心肥大

以前は提携しているSL医療グループ内のクリニックにて胸部レントゲン撮影をして頂いていましたが、移転後は当院にて撮影が可能となりました。富士フィルムの最新のAI診断システムを導入しており、初期で発見しにくい病変や小さな病変も見落としがないよう努めております。

胃内視鏡検査(胃カメラ)

胃カメラ検査当院での胃内視鏡検査(胃カメラ)では鎮静剤を使用し、“苦痛を抑えた”検査が可能です。また、口から挿入する経口内視鏡、鼻から挿入する経鼻内視鏡を患者さんと医師で話し合って決定します。検査前の薬の服用や疑問点は当院までご相談ください。 この検査では食道・胃・十二指腸の状態を調べていきます。詳しくはこちらのページをご確認ください。
分かる病気
  • 咽頭がん
  • 喉頭がん
  • 食道がん
  • 胃がん
  • 十二指腸がん
  • 逆流性食道炎
  • バレット食道
  • 粘膜下腫瘍
  • GIST
  • 胃潰瘍
  • 急性胃炎
  • 慢性胃炎(萎縮性胃炎)
  • ヘリコバクター・ピロリ感染

がんは早期発見が治療の鍵で、発見が遅く病状が進んでいればいるほど治療が難しくなる病気です。小さな病変で発見できた場合は内視鏡下切除(EMR)が可能で胃を切除せずに済みます。ご家族に胃がん、食道がんになった方がいる、40歳を超えた方は症状がなくても年に1回、定期的に検査を受診しましょう。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸カメラ検査大腸カメラでは鎮静剤を使用し、ウトウトしている間に検査が終わります。痛みが苦手な方もご安心ください。肛門から内視鏡を挿入し、大腸の壁を直接観察して病変や異常がないか調べます。 また、検査中に発見された小さな病変や大腸ポリープはその場で内視鏡下切除(EMR)が可能です。 前日の夜は消化の良い食事で、当日の朝は絶食し下剤を飲んでいただきます。大腸カメラについて詳しい流れや注意点はこちらのページをご確認ください。

分かる病気
  • 大腸がん
  • 大腸ポリープ
  • クローン病
  • 潰瘍性大腸炎
  • 大腸憩室症
  • 内痔核・外痔核

大腸カメラでは病気の特定診断をおこなう唯一の検査です。大腸がんは国内の死因ランキングに毎年上位で頻度も死亡数も高い病気ですが、内視鏡検査により早期に発見できれば治る病気になっています。 また、厚生労働省から難病に指定されている潰瘍性大腸炎、クローン病も発見することもできます。原因不明の下痢、血便、腹痛、発熱、貧血などの症状で苦しんでいた方も、原因を特定して治療することができます。 便潜血陽性の方、ご家族ががんになっている方、40歳を超えた方は年に一回検査を受診しましょう。

ヘリコバクター・ピロリ菌検査

当院では尿素呼気試験、病理組織検査、ピロリ抗体検査などでヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているかを調べます。

尿検査・尿沈渣

人間ドックの尿検査では、尿を採取して検査します。検査当日の朝起きてすぐの尿を採取して持参いただいています。朝起きてすぐの尿は濃縮されていて検出しやすいためより精密な診断ができるためです。採取した尿の尿蛋白・尿潜血・尿糖などの数値をみて、腎臓や尿路の病気、膀胱の病気を早期発見することができます。

分かる病気
  • 腎症
    (糖尿病、慢性腎臓病・腎炎ほか)
  • 泌尿器系の悪性疾患
    (腎臓がん、尿管がん、膀胱がんなど、泌尿器系の悪性腫瘍)
  • 尿路感染症

尿は血液中の老廃物や不要物を腎臓でろ過して排泄されたものです。腎臓の機能が低下していると、免疫機能が低下し、下痢や嘔吐の際の脱水が原因で急激に悪化する場合もあります。 さらに、肝臓や胆のうの病気(急性・慢性肝炎や胆管結石など)の疑いも確認できます。腎機能などは悪化すると様々な合併症を引き起こし、透析などの負担が大きい治療が必要となります。 そうなる前に早期に発見し治療に繋げるために定期的に検査を受診しましょう。

尿枕渣

尿を遠心分離機にかけて沈殿した成分を調べる検査です。尿蛋白や尿潜血などで陽性と出た場合におこなわれ、赤血球や白血球、尿酸結晶、細胞、細菌などの成分の量と種類を調べます。成分が正常値より多い場合や、円柱細胞などが見つかった場合には、腎臓や尿路などの病気が疑われます。腎機能検査、尿路系のX線検査や超音波検査などの二次検査が行われます。 また、腎臓や尿路などに限らず全身の病気を診断することにも役立つ検査です。

便潜血検査

便潜血では採取した便に血液が混ざっていないか調べる検査です。検査キットで指定した日に便を採取して冷蔵庫で保管いただき、検査当日にご持参いただきます。 出血を伴う大腸がん・消化管出血の早期発見に役立ちます。

分かる病気
  • 大腸がん
  • 大腸ポリープ
  • 消化管出血

大腸がんは日本での死因で多い疾患ですが、現代の医学では初期段階で発見して治療を開始すればほとんどが治る病気となっています。早期発見のためには便潜血検査や大腸カメラを定期的に受けることが重要です。最近のデータでは毎年検査した場合は大腸がんの発生リスクが約6割下がることもわかっています。便潜血陽性になったことがある方、40歳を超えた方、ご家族ががんになったことがある方は、便潜血検査に併せて大腸カメラを受診することをおすすめします。

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